濵口瑛士に見る:才能を潰してしまう学校教育

「普通」を求める学校教育の中で才能は弾かれてしまう。
「普通」は自分たちと違う才能をいじめる。
その過程で今までどれだけの才能が潰されてきたのだろう。
そんなことを12歳の少年に教えられたのを思い出す。
少年天才画家 濵口瑛士
濱口瑛士。彼は少年天才画家と言われている。彼は若くして画集「黒板に描けなかった夢」の出版や絵画イベントなどを行っている。1年ほど前、彼を応援したい気持ちで一冊購入したが、とても可愛らしい絵から驚くほど密度の高いものまで描かれており、その幅広い世界観に感動した。
同時に、そういった才能を受け入れられない社会に対して疑問を持った。独創的で非常に可愛らしい絵を描く彼だが、異才発掘プロジェクトに出会う前、彼は不登校だった。
彼には絵の才能があるが、それだけではなく論理的な思考や理解力、歴史への興味にも秀でている。それでも学校で彼が評価されることはなかった。
歴史に興味があり周りの子より知識や理解力があっても答案を筆記で書けない彼はテストで点数をとれない。文章を書くことは出来るし考えを伝えることも出来る。しかし漢字がうまく書けない。それだけで学校で評価されることがなかった。
周りの子たちからは虐めもあった。間違ったことは間違っていると主張できる。正論を言える彼を普通の子たちは否定した。
そんな彼の才能を受け入れたのは異才発掘プロジェクトROCKETだった。人と違う、不登校、いじめられているといったこの中から才能を発掘しようという東京大学最先端科学技術研究センターのプロジェクトだ。これにより彼は才能を認められ画集を発売するにまで至った。
希少な才能を生かすために
普通とは違う子の才能を潰さずに伸ばしていく異才発掘プロジェクトのようなものがなければ、これだけの才能を持っていても社会からの評価は「落ちこぼれ、発達障害、ひきこもり」にしかならなかったことを考えると嫌悪感すら覚えてしまう。
濱口瑛士さんの様な才能が、あるいはまったく別の才能が正当に評価される社会を、大人である私たちが作っていく必要があるだろう。
「愚か者は経験に学び、賢者は歴史から学ぶ」という言葉がある。
識字障害を持つトムクルーズは読み書きができなかったため学校では評価されなかったが、素晴らしい演技で世界的なスターになっている。
好奇心が旺盛過ぎたトーマスエジソンは先生がギブアップする程質問をし過ぎ小学校を中退したが、歴史に名を残す発明王となった。
彼らは「普通の人たち」と違った。
普通じゃないとされた彼らは社会から迫害されかけた。だが、果たしてそんな彼らは役に立たない人だろうか?
そんな訳がない。
彼らほど素晴らしい人を見ることはそう出来ることではない。
人と違うことは必ずしも悪いことでない。それは才能であり人や社会の役に立つことが出来るのだと、普通でないことは悪いことではないのだと歴史から学ぶことができる。私は、何かができないということは、何かができるということだと思う。
我々は、これから生まれてくる多くの才能をどれだけ残すことができるだろうか。またそのために何ができるだろうか。