飲み会のデメリット:大人だからといってお酒を飲まなくていい理由

実は、お酒が嫌いだと言う人は少なくない。
体質的に日本人の4割がお酒を飲めないというのだからそれも当然かもしれない。そもそもお酒を飲める身体ではない人がこの国の半分を占めているのだ。
だから、お酒を飲めないことは決して悪いことではない。むしろ、統計的に見るとそれは当たり前でさえあるのだ。
心からお酒を味わい楽しめる人にはいいのかもしれない。おいしい食事とおいしいお酒がもたらしてくれる至福の時間は、その人にとって本当に大切なものだと思う。
ここではそのことを否定するつもりは全くないことを先に断っておこう。実際、起業家などの人たちはいろいろな場に参加して広い人脈を作り出しているし、彼らにとってはとても有用な場であることもある。
ここで話すのは、あくまでも、誰かが嫌な思いをする「付き合い」などの飲み会の話だ。
状況によって「お酒」は途轍もないマイナスな要素となる。
飲み会に行くたびに、
「今日も疲れたな」
「お金勿体なかったな」
「行かなきゃよかった」
と後悔することもあるだろう。飲み会の席が嫌いなのに、嫌々飲みに行くとこのような後悔に苛まれることになる。無理やりお酒を飲まされた挙句に二日酔いにでもなったら最悪だ。
ここでは主に、会社の飲み会や付き合いでお酒を飲むことのデメリットとして特に危険なものを5つ挙げていこう。
1.時間とお金とそのお金を稼ぐ時間がもったいない
飲み会の最大のデメリットは時間とお金だ。
まず飲み会に参加する時間がもったいない。働いている人にとって一日の自由時間はただでさえ少ない。
普通の人は、少なくとも会社に12時間程度の時間を使っている(労働8時間+休憩1時間+残業1時間+通勤片道1時間×2)
その上2時間以上もつまらない飲み会に時間を奪われてしまうと一日の自由が「完全になくなってしまう」のだ。
更に飲み会の代金は異様に高い。
普通に友人と外食すれば1000円で済むものを、飲み会に行くと4000円~5000円といった倍以上の金額が財布から消えていく。
ご飯を食べるだけなら1000円で済むのに、お酒やあれやこれやを頼んでいるうちに何故か5000円になっているのだ。
会計のときに「こんなにするの?」と思ってももう遅い。
そのお金で食事をすれば何回も友達や恋人とご飯を食べられるし、一度の食事でその金額が出せるなら、さぞかし豪華なディナーを食べられるだろう。
庶民的な感覚で考えると3000円のメニューを頼むだけでもかなりおいしいものが食べられるはずだ。
そして5000円稼ぐのは決して簡単ではない。何時間自分が頑張って働いてその金額を稼いでいるのかも考えると、その意味がよくわかるだろう。
2.お酒で壊れる人間関係
「お酒で人間関係が作られる」と言う人もいるが、お酒で壊れた人間関係の方が多い。
セクハラやパワハラ、暴力など、許されないことが行われるのもまたこの飲み会の席である。
普段だったら抑制することも、「お酒を飲んでいるから」という言い訳を得ることによって制限がなくなる。加害者は忘れるのかもしれないが、被害を受けた人にはたまらないだろう。
残念なことに、ここで影響を受ける人間関係は職場だけではなく個人的な関係にも及ぶ。
自由な時間が減ることで友人と関わることが難しくなったり、お酒が原因で恋人と喧嘩をしてしまうことまであるのだ。もし「ちょっとした不注意」で何かがあれば、その後の人生まで台無しにしてしまう、かもしれない。
3.普通に人間関係が築けなくなる
「お酒の力を借りて」という言葉があるように、お酒の力がないと人間関係が築けなくなってしまう人もいるのが事実だ。
実際に「しょっちゅうお酒の力を借りている人」は家に居場所がなく、友人もいない。といったように、「普通の人間関係」が築けていないケースが多い。
家庭にも職場でもシラフで関係を築けないから、そのストレスをまたお酒につぎ込むという泥沼にはまっていくことさえある。
果ては居場所がないからと周りの人を巻き込んでいき「社会人は~という建前」で自分との酒に付き合うべきだと周りを巻き込んでいく。
その時点でほぼアルコール依存症だと思われるが、その生活が続けば「本当に」酒から抜けられずに健全な関係がみるみるうちに壊れていくだろう。
4.ビジネスから個人の関係へ
上下関係を伴う個人の関係ほど厄介なものはない。
パワハラの経験者は身にしみてわかるかもしれないが、中途半端に他人と距離が近づくと人格や日常生活のこと、更には生き方にまでアドバイスをされることがある。
まともな一対一の関係であれば、上司にアドバイスをしたいこともたくさんあるだろう。同じ人間なのだから教えてあげられることは山ほどあるはずだ。
しかし、「仕事上の上下間系を維持したまま個人の関係」に近付いてしまうため、関係が歪む。
お互いに意見を出し合うのではなく、一方的に人生にまで口を出される。これはとんでもないストレスだ。
無礼講と口では言ってもパワーバランスが変わらないまま無礼がなされるために、結局は上司側の権力拡大にしかならない。
仕事として築いてきた適切な距離が、何故かお友達のように個人的な関係になってしまえば、面倒事も増える。少なくとも、それを求めていないのであれば、かなり気を付ける必要があるだろう。
5.他の可能性を捨てることになる
お酒を飲むと、飲み会に参加している時間だけではなく「帰ってからも何もできない」。
本当は飲み会の時間に勉強をすることも、趣味を楽しむことも、何でも出来る。
人がお酒を飲んで騒いでいるうちにスキルアップすることも、もっと好きなことを楽しむことも出来るのだ。
外国語を勉強して流暢に話せるようになることも、映画を見て優雅なひと時を過ごすことも出来る。
本当に関係や人脈を広げたいなら、その狭い身内から飛び出して外のコミュニティと関わることだって出来る。
今趣味がないなら、新しい趣味や友人を見つけることも出来るかもしれない。
同じ時間に、そのお金を稼いでいる時間も含めて「何が出来るのか」を考えると、とてもではないが「嫌いな飲み会」にお金と時間は使えない。
おわりに
やはり自分にあったお酒との付き合い方が必要だ。
子供の頃は、仕事をすると飲み会に行ったりキャバクラに行って仕事の話をしなければ行けないのか…と思い込まされていたものだが、実際に大人になってみるとそうでもないことがわかる。
確かに飲み会ばかりの職場も、新入社員とキャバクラに行くような職場も存在するが、存在するというだけである。
世の中には数えきれないほどの組織が存在するし、「社会人ならお酒を飲まなければいけない」なんてあり得ない。
その人の会社の社会人…つまり「○○会社の会社員はお酒を飲まなければいけない」らしいが、他の人には関係ないことだ。
「社会人とは」と誰かが語る前には「私が思う社会人とは」という言葉が必ず略されてる。
だから「ああ、この人はそう思うんだ」と思っておけばいい。
「社会人とはこういうものなのか!」と純粋な子供のように従順に受け入れることはない。
世間がどうとか誰がどう考えるとか、そんなことはどうだっていい。自分がお酒を嫌いなら、飲まなくていいのだ。
言うまでもないが、お酒が好きな人は好きなだけ飲めばいい。人の趣味を否定する必要はないし、ワイン好きな人がいても良いと思う。気の合う友人と一緒にお酒を楽しむのもいいと思う。他人を傷つけないなら別にいくら飲んだってかまわない。
ただ、嫌いなら「これ程もったいないことはない」。
お酒が嫌いだけど無理に付き合ってきたという人は、飲まない人になってみるのもいいだろう。
嫌いな時間を好きな時間にすることが出来れば、きっと日々の満足度にも大きな変化があるはずだ。